クレーン作業の【振れ止め】を上手くできる3つのコツ

クレーン運転士

こんにちは、ユキムラです!

クレーンで仕事をしている方、資格を取得してこれから作業される方、そんな誰もがやる操作が【振れ止め】です。

荷物を揺らさず【安全】に運ぶための大事な操作で、クレーン運転士としては必ず身に付けたいスキルですよね。

しかし、苦手な方もいるのではないでしょうか?

  • タイミングが難しい
  • なかなか揺れが止まらない
  • 素早く止める方法を教えて

そこで今回は、振れ止め操作が苦手な方でも、できるようになるコツを3つご紹介します。

3つのコツとは?

私がクレーンを運転してきたなかで、上達するために感じたコツは次の3つです。

  • 初動の動かし方
  • ノッチを入れるタイミング
  • 運転士が見る位置

初動の動かし方

そもそも、どんなときに揺れるの?

そう感じたことはありませんか?

クレーンで吊られてる荷物が、もっとも揺れやすくなるのが、【動かし始めるとき】です。

ここで失敗してしまうと、後に荷物の揺れに直結します。

そこで1つめのコツが、初動の動かし方です。

次の図をご覧ください。

天井クレーンで吊られた荷物が、静止している状態です。

荷物が動き始めるとき、荷物はその場に留まろうとします。

これが【慣性力】という力です。

そのため【クレーンの動き】と【荷物の動き】にはタイムラグがあり、これが【揺れ】となってしまいます。

そこで初動の動かし方を、工夫してみましょう。

例えばこんな方法があります
  • クレーンの初動を遅くする
  • 荷物とクレーンの動きを合わせる

クレーンの初動を遅くする

動き始めでフル加速していませんか?

いきなり速い速度で動かしてしまうと、揺れも同じように大きくなってしまいます。

荷物とクレーンの動きを合わせる

どんなにゆっくり動かし始めても、必ず荷物は揺れます。

そんなときに揺れを抑える方法です。

まずクレーンが動き始めるのと同時に、加速を一旦やめます。

そして揺れた荷物が、クレーンのトロリーと一直線になるタイミングでクレーンを再び動かすと、揺れが止まった状態で加速することができます。

最新のクレーンでは動きが滑らかなので、この方法は必要ないかもしれません。

しかし古いクレーンでは、カクカクした動きのものがあるので、きっと役立ちますよ。

ノッチを入れるタイミング

2つめのコツは、ノッチを入れるタイミングです。

ノッチって何?

そんな方もいるのではないでしょうか?

ノッチとはクレーンが加速するための【アクセル】です。

しかし振れ止めを上手やるには、もっとも重要な操作です。

例えば、車のアクセルでは足の踏み加減で【無段階】で調節できますよね?

しかしクレーンでは、無断階で調節することができません。

床上操作式クレーンでは、ペンダントスイッチの押し加減によって、

低速(1速)】【高速(2速)】のノッチしかないものがほとんどです。

さらに運転席がある天井クレーンなどは、多数のノッチがあります。

私が【クレーン運転実技教習】で使用したクレーンは、【6ノッチ】までありました。

天井クレーン(運転席タイプ)の操作ハンドル

そのためクレーンによっては、1段1段のスピードが急激に変わるものもあるので、初めて操作するときは注意してください。

それでは、ノッチをどのようなタイミングですれば、振れを止められるのでしょうか。

その答えは【追いノッチ】という操作です。

具体的に図で説明しましょう。

クレーンを動かすと、荷物はトロリーを支点に【振り子】のように動きます。

このときに振り幅が最大になったところで、荷物を吊っているロープとトロリーが、一直線になるように追いノッチをしましょう。

(右方向での振れ止めです)

すると揺れていた荷物が、ピタリと停止します。

揺れが残った場合は、同じ手順を繰り返して揺れを止めましょう。

ユキムラ
ユキムラ

追いノッチの動かす距離は、各クレーンの特性によって異なるので、自分で操作しながら掴みましょう

運転士が見る位置

3つめのコツは、運転士が荷物を見る位置です。

突然ですがここで、問題を解いてみてください。

問題

みなさんはクレーンを運転するときに、どの位置を見ていますか?

クレーンの資格を持っている方は、教わったのではないでしょうか。

正解は③です。

慣れないうちは、全体を見るクセがある方もいます。

しかし振れ止めは、見るポイントを荷物に絞ることが上達の近道です。

ユキムラ
ユキムラ

荷物の底部分を目印にした方が、振れ止めはしやすいですよ!

素早く止める応用操作

ここからは荷物を素早く止める、応用操作を1つご紹介します。

仕事現場によっては、テキパキと操作をしなければいけない場面もあるので、覚えておいた方がいいでしょう。

その方法は【方向に限らず、振りきれたところで振れ止めをする】というものです。

分かりにくいので、図で解説します。

クレーンの揺れは振り子により、振りきれたところで振れ止めをすると説明しました。

しかし慣れない方だと、片方の方向だけで振れ止めをしようとするんです。

荷物の揺れを一発で止めることは難しいので、2回・3回と振れ止めを繰り返すことになります。

そんな時その方法では、荷物が振りきれるのを待っていなければならないため、時間が掛かって効率が悪いです。

そこで、左右の両方向で振れ止めを行うことで、時間のロスなく安全に運搬することができます。

まず右方向で振れ止めをするとしましょう。

しかし失敗して揺れが少し残ってしまいました。

そこですかさず、今度は左方向で振れ止めを行ないます。

揺れの大きさによって振れ止めの回数が増えてしまうときは、この方法でやると早くできるので、一度やってみてください。

ユキムラ
ユキムラ

慌てると操作ミスしやすいので、慣れてきたらやってみましょう!

苦手な方の練習方法

振れ止めのコツをご紹介してきましたが、それでも苦手な方もいると思います。

そんな方は、空荷の状態(クレーンのフックのみ)で練習するところから始めてみましょう。

荷物を吊らないことでプレッシャーも少なく、気の向くまま練習することができますよ。

フックを荷物に見立てて、イメージしながらやると効果的です。

空荷の状態で振れ止めができるようになったら、小さくて軽い荷物から徐々にステップアップしてみましょう。

ユキムラ
ユキムラ

私も慣れない頃は、この方法で練習して、上達することができました。

まとめ

振れ止めについて語りましたが、いかがだったでしょうか。

慣れるまでは少し難しいかもしれません。

しかし、荷物の落下事故や共同作業者の災害を防ぐためにも、確実に身に付けたい技能です。

苦手な方は少しずつでもいいので、練習してみましょう。

それではこのあたりで!

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