こんにちは、ユキムラです!
以前【クレーン・デリック運転士取得記】の記事を、書いたとおもいます。
その記事を見返すうちに、【実技】について、「もう少し補足が必要かな」と感じました。
そこで今回は【クレーン運転実技教習】について、【操作方法】【コース】のポイントを、写真を使って詳しくご紹介します。
私が教習を受けてから、10年ほど経過しているので、多少やり方は変わっているかもしれません。
ご了承ください。
クレーン運転実技教習とは?
【クレーン運転実技教習】は、クレーン教習所などの教習機関で行う、実技教習のことです。
初心者の方を対象にした教習ですので、
「今までクレーンに触ったこともない」
「運転に自信がない」
そんな方でも、安心してください!
講師の方から、親切・丁寧に教えてもらえます。
教習内容
使用したクレーン
教習で使用したのは、【天井クレーン】です。
クレーンの桁(クレーンガーダ)に運転席が付いています。
そのため教習では、6~7mほど階段を昇るので、高い所が苦手な方はご注意ください。
教習時間
【クレーン運転実技教習】の教習時間は、合図1時間・実技8時間です。
教習の最後には【検定試験】があり、後にご紹介する教習コースを使用します。
実技開始の4時間目までは、1日に1時間ずつしか乗れません。
しかし5時間目以降は、1日に2時間ずつ乗ることができます。
私の教習は6日間連続だったので、都合をつけるのが大変でした。
運転席と操作ハンドル
運転席はこじんまりしていて、3人くらいの乗車が限界です。
教習開始後2~3時間目までは、教官と一緒に運転席へ乗り込み、手取り足取り教えていただけます。
その後は無線機を使ってのやり取りです。
ハンドルと基本操作
操作は【手】と【足】で分かれます。
手で操作するものは次の3つです。
走行ハンドル
クレーンを支えるレールに沿って、クレーンを動かしたいときに使うハンドルです。
運転席目線では、運転席と荷物が一緒に【左右】へ動きます。
横行ハンドル
クレーンの上にある【巻上げ装置(トロリー)】を、移動させるためのハンドルです。
運転席目線では、荷物のみが【前後】に動きます。
運転席は動きません。
巻上げ・巻下げハンドル
荷物を上げたり、下げたりするハンドルです。
運転席目線では、荷物が【上下】に動きます。
走行、横行、 巻上げ・巻下げの3操作を、同時にすることは禁止されています。
2操作のみ可能です!
ハンドルのノッチ
各ハンドルには、速度の調整ができるように数字が刻んであります。
これを【ノッチ】といいます。
ハンドルには(1~6)までのノッチがあり、1が最も遅く、数字が上がるにつれて速くなっていきます。
各ハンドルとも、初動は1ノッチからが基本です。
いきなり最大ノッチに入れてしまうと・・・
【走行】【横行】では荷物が大きく揺れ、
【巻上げ・下げ】ではワイヤーロープに衝撃が加わって、傷めてしまいます。
足で操作するものは次の2つです。
足踏ブレーキ
クレーンの走行ハンドルは、走行中OFFにしても、直ぐには止まりません。
走行を直ちに止めたいときに、使うブレーキです。
車のブレーキペダルのような形をしています。
【走行】のみ使えるブレーキです。
【横行】【巻上げ・巻下げ】には使えません。
足踏ブザー
写真では、イスに隠れてしまって分かりづらいですが、左足で操作します。
すると「ブー」とブザーが鳴るボタンです。
【玉掛け作業者】に合図するブザーですが、教習でも使用します。
応用操作
斜行(しゃこう)
今までご紹介してきた操作方法では、横行で【前後】、走行で【左右】にしか動けませんでした。
しかし組み合わせることで、斜めに移動することができます。
これが【斜行】です。
例えば、【右前方】に移動したいときの操作方法は、下の写真のようにします。
- 走行ハンドルを【右】
- 横行ハンドルを【前】
すると荷物が右前方へ移動します。
この要領で操作すれば、全方向へ移動可能です。
右後方なら
- 走行ハンドルを【右】
- 横行ハンドルを【後】
左前方なら
- 走行ハンドルを【左】
- 横行ハンドルを【前】
左後方なら
- 走行ハンドルを【左】
- 横行ハンドルを【後】
となります。
コース上のスペースによって、横行・走行ハンドルを動かす順番が、前後する場合があります。
振れ止め
振れ止めとは、荷物の揺れを止める技術です。
必ず習得したい技術なので詳しく書きます。
まず荷物の揺れは、どういうときに起こるかというと。
横行・走行とも急加速したり、急ブレーキを掛けたりすると、大きく揺れるので気をつけてください。
横行の揺れは、クレーンの桁にそって揺れます。
下の写真で(黄色の矢印)のような揺れです。
荷物が振り子のように揺れます。
揺れを止めるには
荷物が前方向に振り切った瞬間
横行ハンドルを【前】に1ノッチ入れ、素早くOFFにします。
すると、揺れを止めることができます。
揺れが残った場合は、この作業を繰り返しましょう。
横行ハンドルは、前ノッチだけでなく、後ノッチを使っても構いません。
次は走行の揺れです。
下の写真(赤い矢印)のような揺れ
こちらは多少、操作が複雑になります。
左向きで揺れを止めてみましょう。
荷物が左に振り切った瞬間
走行ハンドルを【左】に1ノッチ入れ、素早くOFFにすると同時に、足踏ブレーキを踏みます。
すると、揺れを止めることができます。
揺れが残った場合は、この作業を繰り返してください。
左方向でご説明しましたが、右方向で止めても構いません。
走行ハンドルは横行に比べて、【ノッチ】の立ち上がりが遅いので、多少長めに繋いだ方がいいですよ!
コースの説明とポイント
コース図です。
教習所によってコースの違いがありますが、私が教習した内容でご紹介します。
教習の最後に行う、検定試験の手順は次のとおりです。
①運転開始の足踏ブザーを鳴らす
↓
②ワイヤーを張り、一旦停止する
↓
③ブザーを鳴らし荷物を地切りします
(地面から10~20cm離れる程度)
↓
④荷物を(2m)巻上げます
運転席に乗っていると、荷物を上から見下ろすため、地面からの高さがわかりづらい。
高さの目安は【巻上げ・巻下げハンドル】を操作してから、自分で目安になる秒数を覚えると効果的です。
↓
⑤ブザーを鳴らし、高さの計測を依頼する
↓
⑥ブザーを鳴らしてスタートします
(ここから時間の測定開始)
↓
⑦【斜行】しながら、ポール(A)へ移動
(ポールに当たるため、横行の揺れに注意)
⑧バー越え障害物(B)の手前で一旦停止
荷物が揺れてる場合、【振れ止め】をする
(バー横のポールに当たります)
↓
⑨荷物を巻上げ(B)を通過する
↓
⑩荷物を(2m)に巻下げる
(巻下げを忘れる方が多いみたいです)
↓
⑪(B)から(D)地点まで【斜行】で移動
(C)地点通過まで右走行、通過後は左走行
↓
⑫(E)地点まで斜行したら一旦停止
(振れ止めを行う)
↓
⑬荷物を巻上げ(E)地点を通過します
↓
⑭再び荷物を(2m)に巻下げる
↓
⑮(F)地点手前まで斜行させ、一旦停止
↓
⑯壁に当てないよう(F)地点を通過する
↓
⑰(S)地点に戻ったら、着地の準備
↓
⑱円の中に入るように位置を調整する
↓
⑲地切りした地点まで下げたら一旦停止
↓
⑳ゆっくり着地させる
(ワイヤーロープは張ったまま)
↓
ロープを弛めてブザーを鳴らし終了
(ここまでの時間が測定されます)
制限時間は2分30秒ですが、あせって荷物を揺らしてしまうと、大きな減点です。
リラックスして、慎重にやりましょう!
まとめ
いかがでしたか?
クレーン運転実技教習で教わった、知識と技能は現場作業でも活かせます。
自信にもなるので、興味がある方はぜひ取得を目指してみてください。
それでは今回はこのあたりで!
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