クレーン作業の【質量目測】と吊り具の正しい選び方

クレーン運転士

こんにちは、ユキムラです!

クレーンの荷物を吊るために、もっとも重要なことが【玉掛け作業】ですよね。

なかでも重さが分からない荷物を、自分で判断する【質量目測】は、なかなか難しいことだと思います。

そこで今回は、現場作業であまり手間がかからない方法で、質量目測のやり方と適切な吊り具の選び方をご紹介します。

質量目測のポイント

質量目測というと【計算・公式】など、理系が苦手の方はそれだけで嫌になりませんか?

私もそのなかの1人でした。

そこで、そんな方でも理解しやすいように、3つのポイントに絞ってみます。

質量目測3つのポイント
  • 吊り荷の比重と公式は暗記
  • 定規に頼らない
  • 重さは少し多めに見積もる

吊り荷の比重

クレーンで吊るす荷物は、みなさんの職場によって【鉄・木材・コンクリート】など、素材に違いがありますよね。

荷物の重さを目測するときには、素材ごとの重さ【比重】が重要です。

分かりづらいので、表にしてみました。

物質の種類比重(t)物質の種類比重(t)
11.41.9
8.91.0
7.8石炭粉1.0
鋳鉄7.2石炭塊0.8
亜鉛7.1コークス0.5
銑鉄7.0カシ0.9
アルミニウム2.7ケヤキ0.7
粘土2.6スギ0.4
コンクリート2.3ヒノキ0.4
2.0キリ0.3

ご覧のとおり、素材ごとに比重は違います。

しかし、この表に書かれているすべてを覚える必要はありません。

みなさんの職場にある素材の比重だけ覚えておけば、きっと役に立つと思いますよ。

公式

計算が苦手の方、大丈夫です!

質量目測の公式は、次の1つだけ覚えればできます。

質量=体積×1㎥当たりの質量

この公式に当てはめれば、簡単に質量がわかります。

定規に頼らない

基本的に質量目測では、定規を使えば確実な重さを割り出すことができます。

しかし実際の現場では、忙しさや定規がないということもあり、使えないこともあるでしょう。

そんなときは、【自分の手】を使えるようにしておくと便利です。

自分の手を広げたときに、長さが何センチか記憶しておけば、定規がなくても測定できますよね。

重さは少し多めに見積もる

私のなかでは、1番重要なことだと思っています。

質量目測では人によって、どうしても多少の【誤差】が生まれます。

そのため解消ポイントとして、

質量を少し重く目測する】ことです。

これは【玉掛け技能講習】でも習うことですが、約20%ほど重く見積もりましょう。

例えば

計算で100kgの質量と出た場合、120kgと見積もります。

そうすることで次にご紹介する、適切な吊り具を選べる基準が分かります。

適切な吊り具の選び方とは?

それでは今までのポイントを押さえながら、荷物を吊るための【適切な吊り具】を選ぶ方法をご紹介します。

ここでは【ワイヤーロープ】を例に挙げてご紹介しましょう。

ワイヤーロープと荷物の関係は、

荷物(重)ワイヤーロープ(細)

ワイヤーロープが切れます。

荷物(軽)ワイヤーロープ(太)

荷物とロープ、ロープとクレーン(フック)の間に力が伝わらず、荷物が不安定になります。

そのため、できるだけ荷物の重さに近いワイヤーロープを選ぶ必要があります。

まず吊る荷物の質量を、先ほどご紹介した方法で割り出します。

そしてみなさんの職場に【安全荷重表】という表はありませんか?

これは荷物を吊るときに、

  • 荷物の質量
  • ワイヤーロープの太さ
  • フックからの吊り角度

によって吊ることができることを示した表です。

この表に当てはめれば、適切なワイヤーロープを選ぶことができます。

まとめ

いかがでしたか?

質量目測は一つ間違えば、事故につながる大事な作業です。

「このくらいなら大丈夫だろう」

そんな油断が、取り返しのつかないことになる場合もあります。

あせらずにしっかりと作業しましょう。

それではこのあたりで!

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