こんにちは、ユキムラです!
前回の【移動式クレーン運転士(学科編)】をご覧になった方、ありがとうございました。
学科試験に合格すると、いよいよ実技です。
クレーンを運転したことない方は、不安ですよね。
私もそうでした。
「教習所はどこにあるの?」
「運転は難しい?」
「操作方法を教えて!」
そこで今回は【移動式クレーン運転士免許】の、実技教習の内容と攻略法をご紹介します。
初心者の方でも分かりやすいように、できるだけ写真を多く使って、まとめました。
クレーン教習所を探す
私は【移動式クレーン】の実技未経験でしたので、学科試験に合格後、教習所でクレーン運転実技教習(実技の教習)を受けました。
全国にクレーン教習所があるので、通いやすいところを探してみましょう。
下の記事は【全国のクレーン教習所一覧】です。
よかったら、参考にしてください。
実技
ここからは、実技の内容をご紹介します。
私は【東京クレーン学校】でお世話になりました。
他の学校では、6日間連続で教習をしなければならないので、平日にも通わなければいけません。
しかし東京クレーン学校の場合は、メリットがあります。
移動式クレーン運転士の場合、土日の教習を行っているんです!
忙しい会社員の方にはオススメですよ。
私は、土日のみを利用して教習しました!
教習で使用した機種
教習車は加藤製作所の【MR-130Ri】という、ラフテレーンクレーンです。
小型の機種なので、初心者の私でも比較的に扱いやすい機種でした。
時間割
教習時間は、6日間で合計9時間です。
その内訳は・・・
時間割 | 教習内容 |
1h | クレーンの合図 |
2h | エンジンの掛け方、操作レバーの説明 |
3h | 教習コースのライン取り |
4h | 全コースの周回(壁なし) |
5h | 全コースの周回(壁なし) |
6h | ブームの収納、道路走行状態へ設定 |
7h | ブーム張り出し、作業状態へ設定 |
8h | 全コースの周回(壁あり) |
9h | 検定を想定したコースの周回 |
初日は合図1時間、実技1時間の合計2時間教習できます。
しかし5時間目までは、1日に1時間ずつしか教習できません。
クレーン学校に相談すると、都合がいい日を選んで、日程を組んでもらえます。
9時間目まで無事に終わると、最後に検定試験があります。
教習内容
クレーンの合図
教習1時間目は、合図の授業から始まります。
「合図って何?」
そんな方のために、詳しくご説明します。
クレーン運転士は、運転席から離れられませんよね?
しかし荷物を吊り上げるには、ワイヤーロープを荷物に掛けるための作業員がいます。(玉掛け作業者)
この玉掛け作業者から、クレーン運転士に向けて
「荷物を上げてください」
「移動させてください」
という合図を【手】や【笛】、【無線】などを使って合図します。
このうち教習では、 【手】と【笛】 で合図する方法について学びます。
最後に筆記の確認テストをやりました。
勤務する会社によって、【合図】は違いますので、働くときには必ず確認しましょう!
エンジンの掛け方、操作レバー説明
2時間目からは、さっそく運転席に乗り込み、説明を受けました。
エンジンの掛け方
エンジンの掛け方はシンプルで、キーを回すだけですが、タイミングが必要になります。
運転席の右側を写した写真です。
赤丸で囲った鍵が、エンジンのスタートキーになります。
手順としては、次のとおりです。
1、キーを【ON】の位置まで回す
↓
2、すると、赤いランプが1回点滅する
(写真の赤い矢印部分)
↓
3、キーを【START】まで回す
すると、エンジンを掛けることができます。
作業ができる状態へ設定する
エンジンを掛けた状態では、クレーンは動きません。
1、PTOのボタンを【ON】にする
(PTOとは、エンジンからクレーンのブームなどを動かすための、動力取出装置です)
↓
2、旋回ブレーキを【解除】にする
(クレーンが左右に動けます)
↓
運転席左上にあるACSの画面です。
(ACSとは荷物を吊ったとき、重さでクレーンが倒れないようにする安全装置です。)
【主巻】と【アウトリガー】→【ACS】の順に押す。
この画面になれば準備完了です。
この作業は、毎回教習の前に行うので、覚えておくとスムーズに教習できます。
操作レバーの説明
運転席に座ったときの写真です。
写真ではたくさんのレバーがありますが、教習で使うのは次の3つになります。
旋回レバー
クレーンを左右へ、水平移動するときに使います。
手前に引くと【右旋回】
奥側へ倒すと【左旋回】
また、レバーの横についてる丸いボタンを押すと、ブザーが鳴ります。
(検定試験のときにだけ使用)
主巻フックの巻上げ、巻下げレバー
メインのフックに吊る荷物を上げたり、下げたりするレバーです。
手前に引くと【巻上げ】
奥側へ倒すと【巻下げ】
ブームの起伏レバー
吊った荷物を、手前や奥へ移動させるレバーです。
手前に移動させることを【引込み】
奥へ移動させることを【押出し】
ともいいます。
2種類のレバーを使った応用操作
【引込み】【押出し】操作の場合、起伏レバーでブームを動かすと、荷物の高さが変わってしまいます。
具体的に説明すると。
・ブームを起こすと→荷物が上がる
・ブームを倒すと→荷物が下がる
「荷物を水平に移動したい!」
この場合はどうすればいいかというと。
フックの【巻上げ・巻下げ】操作を同時に行います!
水平に保ちながら引込みする場合
起伏レバーで引込みながら、フックの巻下げ操作を同時に行います。
以下【水平引込み】と書きます。
水平に保ちながら押出しする場合
起伏レバーで押出しながら、フックの巻上げ操作を同時に行います。
以下【水平押出し】と書きます。
この2つの応用操作も、教習コースで多く使うので必ず習得しましょう。
荷物の高さが大きく変わってしまうと、減点です。
はじめに【起伏レバー】を操作し、荷物が動いてから【巻上げ・巻下げレバー】で調整するとスムーズにいきますよ!
振れ止め
振れ止めは【荷物の揺れを止める】操作です。
移動式クレーンの場合は主に、次の2動作をするときに揺れが生じます。
旋回のとき
旋回レバーを操作したとき、荷物が左右に揺れます。
運転席からも揺れは確認しやすく、振れ止め操作はしやすいです。
起伏のとき
起伏レバーを操作したとき、荷物が前後に揺れます。
運転席からは揺れは確認しにくく、振れ止めの難易度は高いです。
振れ止めのやり方
荷物が振り切ったところで、荷物の真上にクレーンのブームがくるように移動させてあげると、振れを止めることができます。
荷物を見るときの視点の位置は、できるだけ底を見るようにしましょう。
検定試験でも、振れ止めをしないでコースを進むと大きな減点対象なので、必ず習得しましょう!
各レバーを操作するときのポイント
各レバーを操作するとき、この意識を持っていると、荷物の揺れ具合が違います。
急ぎたい気持ちが出てしまいますが、あせらずに操作しましょう。
逆に【振れ止め】の操作が増えてしまったり、結果的に大きな時間ロスになってしまうので、注意が必要です。
特に【旋回】【起伏】のレバー操作は慎重にやりましょう。
大きな揺れになってしまいます。
教習コースのライン取り
下手な絵ですみませんが教習コースです。
(教習所により異なる場合があります)
3時間目からは、いよいよコースを使って教習していきます。
しかし、いきなり全コースを回るのは難易度が高いので、初めの頃は教官の指示で途中で折り返すコースでした。
慣れてくると、徐々にコースを広げてもらえますよ。
難関ポイントの攻略法
ここからは、コースの中で私が難しいと思ったポイントと攻略法をご紹介します。
バー越え障害物
バー越えは、1番最初に待ち受けるポイントです。
スタート地点から2mまで【巻上げ】をしてから、【右旋回】でバーの近くまで移動します。
そして、【水平押出し】でバーの中心付近まで移動し、【巻上げ】でバーを越えられる高さまで上げましょう。
バーを越えたら、必ず巻上げる前の高さまで【巻下げ】します。
バーを越えてからの【巻下げ】操作は、忘れる方がいるみたいなので、要注意です。
最難関地点
バーを越えた後、私は(最難関地点)と感じた場所です。
ポール(A,B)を通す
まずは【水平引込み】でポール(A,B)の近くまで移動します。
そして【右旋回】で間を通しましょう。
ポールの間を通るときに、荷物が遠心力で外側に膨らみ、ポール(A)に当たる危険があります。
ポール(C,D)を通す
ここは1番難しいところです。
まずポール(C)の近くまで、【右旋回】で移動したら、【水平引込み】します。
そして再び【右旋回】したあと、直ぐに【水平押出し】でポール(C,D)を通過してください。
ポール(C,D)を通過したら、次の左旋回をするときに、ポール(C)をギリギリ通れる位置で止まります。
次の左旋回で、ポール(A,B)を通るときに、遠心力でポール(A)に当たってしまいます。
壁
【左旋回】でポール(A,B)を通過したら、最後の関門(壁)です。
ポール(E)の近くまで移動したら、【水平引込み】でポール(E,F)の間まで移動します。
ポール(F)に寄せすぎると、左旋回するときに壁の出口にある、ポール(G)に当たってしまいます。
スタート地点へ戻る
壁を通過したら、あとはゴールの(スタート地点)へ戻るのみです。
【水平押出し】で移動したあと、着地点にある丸い円の中に、荷物が入るように調整します。
【振れ止め】も忘れずにやりましょう!
ブームの収納、走行状態へ設定
実作業を想定した、クレーンの設定を学ぶ授業です。
(検定試験の範囲ではありません)
【ブーム】【アウトリガー】【フック】を収納し、道路を走れる状態にする作業を教えてもらえます。
(アウトリガーとは作業をするときに、クレーンが安定するよう、四隅で支えるジャッキのことです。)
ブームを伸ばし、作業状態へ設定
道路を走れる状態から、クレーン作業ができる状態へ戻す設定をします。
(検定試験の範囲ではありません)
全コースの周回(壁あり)
検定試験の2時間前になると、今までなかった、【壁】がつけられます。
壁といっても、完全に見えないものではなく、【網】のようなものです。
【バー越え障害物】を通過するときには壁と重なり、見えづらくなるので注意してください。
検定を想定したコースの周回
今まで【制限時間】や【荷物の高さ】は、それほど気にせず、教習をしてきました。
しかしこの時間からは、教官が試験に向けて、周回する度に測定してくれます。
コース1週の【制限時間】は6分30秒です。
【荷物の高さ】は2mですが、実際は数字は役に立ちません。
試験当日は近くにある、2m付近の目標物を自分で探しましょう。
私は荷物の奥にあった、車のサイドミラーを目標物にしました。
検定試験
検定試験の手順は、次のとおりです。
(教習所により異なる場合があります)
(制限時間6分30秒)
・ブザーを鳴らす
↓
荷物を指差し「質量ヨシ」という
↓
微動巻上げでワイヤーロープを張る
(荷物を指差し「張りヨシ」という)
↓
荷物を地面から10~20㎝離す
(荷物を指差し「地切りヨシ」という)
↓
荷物を2m巻上げる
(ブザーを鳴らす)
↓
試験官が荷物の高さをチェックする
↓
試験官の笛の合図でスタート
(時間の測定開始)
↓
教習コースを1週してスタートに戻る
↓
荷物を巻下げ、地切り地点で一旦停止
↓
ゆっくり荷物を着地(ロープは弛めない)
(荷物を指差し「安定ヨシ」という)
↓
ワイヤーロープを弛める
(ブザーを鳴らす)
↓
終了
【制限時間】で焦りがちですが、荷物が揺れる方が大きな減点です。
時間は気にせず、慎重に試験に挑みましょう!
教習修了
検定試験に合格すれは、教習はクリアです。
最後に免許証手続きの書類と、修了証をもらって卒業になります。
免許証の交付申請
免許証の交付は【住所を管轄する都道府県の労働局】に申請します。
詳しい申請の仕方は、下の記事にまとめました。
まとめ
【学科編】と【実技編】の2部構成でご紹介しました、【移動式クレーン運転士取得記】はいかがでしたか?
分かりづらいという部分は、随時更新していきたいと思っています。
それでは今回はこのあたりで!
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