クレーン運転士免許の成り立ち

クレーン運転士

こんにちは、ユキムラです!

現在クレーンの運転免許には、

  • クレーン・デリック運転士
  • 移動式クレーン運転士
  • 揚貨装置運転士

の3種類があります。

しかし昔は、1つの資格ですべて運転できる、オールマイティーな資格だったことをご存じですか?

そこで今回は、クレーン運転士免許ができた当時から、3種類の免許に分割されることになった成り立ちをご紹介します。

免許のはじまり

クレーンの運転免許が設立されたのは以外に古く、1947年(昭和22年)11月に、【起重機運転士】としてはじまります。

この起重機運転士という免許は当時、日本にあるすべてのクレーンを運転できる、スーパー資格でした。

この中には、荷物に吊り具の掛け外しができる、【玉掛け】の資格も含まれています。

また1952年(昭和27年)9月には、現在では行われていない免許の【更新制度】が導入され、有効期間は5年でした。

ユキムラ
ユキムラ

当時はこの免許さえ持っていれば、重宝されたことでしょう。

起重機運転士免許が3つに分割

3つの免許

ところが1962年(昭和37年)11月に、起重機運転士免許は3つの免許に分割されます。

  • クレーン運転士(初代)
  • デリック運転士
  • 揚貨装置運転士

クレーン運転士(初代)

このときの免許では、天井クレーン・タワークレーンなどの他に、ラフタークレーンなどの移動式クレーンも運転することができました。

デリック運転士

玉掛け作業者必携(日本クレーン協会)より

デリックとは建設現場・港湾などで荷役作業をするための機械です。

クレーンと比較すると、本体とは別の場所に荷物を巻き上げるための、ウインチ(巻上げ機)があることでしょうか。

揚貨装置運転士

揚貨装置運転士 過去問題・解答解説集(TAKARA license)より

揚貨装置とは船の上に設置された、クレーン又はデリックのことです。

揚貨装置運転士の資格は、このときに分割されてから現在に至ります。

更新制度の廃止

3つの免許へ分割するのと同時に、免許の更新制度が廃止されます。

これにより免許は生涯有効となり、更新制度はたった10年で終えることになりました。

ユキムラ
ユキムラ

免許の取得者からすると、更新制度がないのは嬉しいですよね!

クレーン運転士免許を2つに分割

1972年(昭和47年)4月には、【クレーン運転士(初代)】免許が2つに分けられます。

  • クレーン運転士(2代)
  • 移動式クレーン運転士

クレーン運転士(2代)

天井クレーン・タワークレーンなどを操作できます。

移動式クレーン運転士

トラッククレーン・ラフタークレーンなどを操作できます。

結果的には、移動式クレーン運転士の資格が分離される形になりました。

移動式クレーン運転士免許は、この改正から現在に至ります。

ユキムラ
ユキムラ

改正前のクレーン運転士(初代)を所持している場合は、引き続き両方のクレーンを運転することができます。

玉掛けの資格が除外される

玉掛けの資格が除外されている免許証

1978年(昭和53年)10月からは、すべての免許から【玉掛け】の資格が除外されます。

理由は定かではありませんが、玉掛けによる事故が、増加したことによる処置だと思われます。

玉掛けの資格は、【玉掛け技能講習】を受講することで取得できるように改正されました。

ユキムラ
ユキムラ

法改正以前の免許保有者は、引き続き玉掛けの資格があります。

床上運転式クレーンを設定

1998年(平成10年)3月、【クレーン運転士】の免許に、床上運転式クレーンの限定区分が設定されます。

床上運転式クレーンとは?

床上運転式クレーンとは、文字どおり床の上(地上)で操作するクレーンのことです。

クレーンから【ペンダントスイッチ】という操作ボタンが吊り下げられ、運転士がボタンを押すことで動作します。

似たもので【床上操作式クレーン】というクレーンがありますが、違いについては下の記事をご覧ください。

クレーンとデリックの免許を統合

2006年(平成18年)4月になると、【クレーン運転士】と【デリック運転士】が統合し、【クレーン・デリック運転士】となります。

現在はデリックの設置数が少なくなり、【デリック運転士】を取得する方が少なくなったことによるものです。

旧デリック免許を所持している方で、免許の再発行する場合は(デリック)欄に1が表示されます。

旧デリック運転士免許の欄は残っています
ユキムラ
ユキムラ

デリックはラフターなどの移動式クレーンに置き換わり、日に日に数を減らしています。

まとめ

いかがでしたか?

この過程を経て、3種類の免許ができあがりました。

途中で何度も改正されているのが、お分かりいただけたと思います。

これにはクレーンのニーズが変化したり、労働災害を減らしていくための試みでもあるのです。

これから取得を目指される方は、安全第一で現場作業でも活かしていきましょう。

それでは今回はこのあたりで!

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